月桃見ながら
島の雨
畑をやってみる
これは我が家の畑です。
2ケ月前、移住してきた当初は雑草だらけでソテツや庭木が伸び放題に伸びて、
ちょっと見て見ぬ振りしていたい位にひどい状態だった。
いや、最初はあまりにも荒れ放題なので我が事と思いたくなくて、
「隣の土地はうちの敷地じゃないよね」なんて夫と話していたのだけど。
島は輸送費がかかるので物価が高い。
ガソリンも日用品も食品も全て、内地の2割り増しくらいの値段だ。
予想はしていたけれどやっぱりこの物価高は家計をじわじわと圧迫してきまして。
自分たちで自給できるものはなるべくやってみるしかないよ!
というわけで、見ない振りをしてきた畑の開墾に踏み切ったのです。
人力だけで遂行しようとした夫、3日で挫折。
南の植物たちの生命力と根っこの頑丈さは半端なものじゃありません。
丸一日ユンボ投入。
わざわざ業者に頼んだりしなくてもビール1ケースで
こういうことをやってくれる人たちが
すぐに見つかるのは田舎の有り難さかもしれません。
農業従事者や農業経験者がとても多いので、
大型機械を扱える人もたくさんいるわけです。
ガガガガ グワシャーン!
で、、見る見るうちに伐採された木や植物の山ができました。
この山…どうしたらいいんだろう、と唖然と眺める我々。
「ほっといたらそのうち枯れるよー」とユンボしてくれた島人が言うので、
「どれくらいで枯れますかねぇ?」と聞いてみると、
「うーん、2年もしたら全部枯れて腐って無くなるんじゃないですかねぇ〜」
だって。
一応、どうにか廃棄できないものかと思って役場にも聞いてみた。
「あー、庭木はね、捨てるなら2ケ月くらい乾燥させて
生木じゃない状態になったら捨てられるけど、
でもここだと大体みんな空いてる畑とかに放っておくよね」
だそうで。
あ…、え…?
それでいいんだ…?
と思わされることも今はまだ多いけれど、
きっとだんだんこういう島の常識にも慣れていくんだろうと思う。
南の島からはじめまして
2016年の春、とある南国の離島に移住してきました。
家族構成は、夫と1歳10ケ月の子供が1人の3人家族。
私たち夫婦が選んだのは大概の人に「は?どこそれ?ていうか何て読むの?」
などと言われるマイナーな島で、全国的に見たら立派な過疎地域だと思います。
観光産業が盛んな南の島ではなく敢えてそういう地味な離島を選んだのは、
この島のスタンスに面白味を感じたからです。
よく名前を聞くような有名な島々からは
「貴方がたに移住してきてもらわなくても
私共は全く困りませんし関係もありませんが、
お出来になるのでしたらどうぞご自由に」
みたいな高飛車感を感じてしまって、始めから移住の選択肢に無く。
かといって島おこしや地域おこしに躍起になっているところは
「ぜひ来てよ!応援するよ!みんなでがんばろう!」
という松岡修造的熱さがあって、外見も中身も非運動部系の我々は
そのテンションについて行けないだろうなと。
でもこの島は外の力を頼りにしてないというか
はなからアテにしていないところがあって、
「フーン。来たいなら来たらいいよ〜、
なんの助けもできないけども、まぁ、邪魔もしないんで」
みたいな、良くも悪くもやる気の無い雰囲気なので、
ガツガツ頑張って生きて行きたくない私たち夫婦には
居心地が良いかもなと感じました。
都会でそれなりに一生懸命働いて暮らしてきたけれど、
自分の生活や社会システムに矛盾や無理を覚えて田舎暮らしを夢見る…。
そんな人たちってこの現代増えてきていると思います。
私、現在30代後半なんですが、私たちの親世代ってとにかく田舎を嫌って
誰も彼もが都会、もしくは都会っぽさを目指した世代だと思うんです。
ただ、取り残されたように存在する田舎らしい田舎な場所も
この日本にはまだたくさんあるわけで、
私たちの親世代が捨ててきた見向きもされないそういったものを
孫世代である私たちがまた求め始めているわけですよね。
これは、親世代が必死になって構築してきた
とにもかくにも利便性!なライフスタイルが、
結局のところ人間の本能としては快適では無かったからじゃないかなぁ。
夢の田舎暮らしを実践したものの、その夢破れて
都落ちならぬ都登りして都会に帰っていく人もとても多いと聞きます。
でも私、自然の多いところで暮らしたいという気持ちは
人間としてはとても全うなことだと思うんです。
一言で「田舎」や「島」などと言っても
土地によっていろいろと性質もありますし、
人間同士と同じで相性ってありますから、
失敗に終わってしまった例は
ただその相性が合わなかったというだけじゃないかと。
私たち家族の移住はまだ成功するか失敗に終わるかは分からないですが、
気付いたことや考えたことなど書いていってみたいと思います。